院長コラム-Column

息切れの原因は心臓?肺?考えられる病気と受診の目安

「階段を上ると息が切れる」「少し歩くだけで息苦しい」「以前より疲れやすくなった」という症状は、加齢や運動不足だけでなく、心臓や肺の病気によって起こることがあります。

息切れの主な原因には、心不全、不整脈、狭心症、心臓弁膜症などの心臓病、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎などの呼吸器疾患、貧血、甲状腺機能の異常などがあります。

息切れだけで原因を特定することはできません。

「以前は平気だった動作で息が切れるようになった」「息切れが徐々に強くなっている」という変化がある場合は、一度原因を確認することが大切です。

息切れとはどのような症状ですか?

息切れとは、呼吸をするためにいつも以上の努力が必要になったり、呼吸に不快感を覚えたりする状態です。

患者さんによって、息切れの感じ方や表現は異なります。

  • 階段や坂道で息が切れる
  • 少し歩くだけで呼吸が速くなる
  • 息を十分に吸えない
  • 呼吸が浅く感じる
  • 胸が圧迫されるように感じる
  • 横になると息苦しい
  • 夜中に息苦しくて目が覚める
  • 会話中に息が続かない
  • 以前より疲れやすくなった

運動をすると筋肉が必要とする酸素量が増えるため、健康な人でも呼吸数や心拍数は増加します。

ただし、以前は問題なくできていた動作で息が切れるようになった場合や、息切れが少しずつ悪化している場合は、心臓や肺などの病気が隠れている可能性があります。

息切れの原因として考えられる病気は何ですか?

息切れの原因は、心臓病、呼吸器疾患、血液の異常、体力低下などに分けられます。

息切れに伴う症状や特徴考えられる主な原因
足のむくみ、体重増加、横になると苦しい心不全
動悸、脈が速い、脈が遅い、脈が乱れる不整脈
歩行や運動で胸が締めつけられる狭心症
息切れ、胸の違和感、失神しそうになる心臓弁膜症
咳、痰、発熱を伴う肺炎などの呼吸器感染症
ゼーゼー、ヒューヒューする気管支喘息、COPD
喫煙歴があり、息切れが徐々に進むCOPD
疲れやすい、顔色が悪い貧血
動悸、発汗、体重減少を伴う甲状腺機能亢進症
体重増加や運動不足に伴う肥満、体力低下
緊張や不安とともに呼吸が速くなる過換気、不安など

この対応はあくまで目安です。

同じ病気でも症状の現れ方には個人差があり、複数の原因が重なって息切れが起きる場合もあります。

心臓の病気で息切れが起こるのはなぜですか?

心臓は、血液を全身へ送り出すポンプの役割を担っています。

心臓の働きが低下すると、全身が必要とする血液を十分に送り出せなくなったり、肺に血液がたまったりします。

その結果、歩行や階段などの軽い運動でも息切れが起こることがあります。

心臓が原因となる代表的な病気には、心不全、不整脈、狭心症、心臓弁膜症があります。

心不全による息切れにはどのような特徴がありますか?

心不全は、心臓の働きが低下し、息切れやむくみなどが起こる状態です。

初期には、坂道や階段を上ったときの息切れとして現れることがあります。

進行すると、平らな道でも息が切れる、横になると苦しい、夜中に息苦しくて目が覚めるといった症状がみられる場合があります。

次の症状を伴う場合は、心不全の可能性を考えます。

  • 両足や足首がむくむ
  • 数日で体重が増える
  • 横になると息苦しくなる
  • 夜中に息苦しくて目が覚める
  • 疲れやすくなった
  • 食欲が低下した
  • 動悸がする

ただし、息切れやむくみがあるだけで心不全と確定することはできません。

診察、血液検査、心電図、心臓超音波検査、X線(レントゲン)検査などを組み合わせて判断します。

不整脈による息切れにはどのような特徴がありますか?

心房細動や頻脈性不整脈が起こると、心臓が効率よく血液を送り出せなくなり、動悸や息切れが現れることがあります。

反対に、脈が極端に遅くなる徐脈性不整脈でも、運動時に必要な血液を送り出せず、息切れや疲れやすさが起こります。

次のような脈の変化を伴う場合は、不整脈が関係している可能性があります。

  • 脈が急に速くなる
  • 脈の間隔がバラバラになる
  • 脈が飛ぶ
  • 脈が以前より遅い
  • 動悸と息切れが同時に起こる

発作性の不整脈は、診察時には元の脈に戻っていることがあります。

通常の心電図で異常が確認できない場合には、ホルター心電図などで日常生活中の心電図を記録します。

狭心症でも息切れは起こりますか?

狭心症は、心臓の筋肉へ血液を送る冠動脈が狭くなり、心臓が一時的に酸素不足になる病気です。

一般的には胸の圧迫感や締めつけ感として現れますが、胸痛がはっきりせず、運動時の息切れや胸の違和感だけが出る場合もあります。

歩行、階段、坂道などで症状が現れ、休むと軽くなる場合は、狭心症の可能性も考えて検査します。

心臓弁膜症でも息切れは起こりますか?

心臓には、血液の逆流を防ぐための弁があります。

弁が狭くなったり、正しく閉じなくなったりする病気が心臓弁膜症です。

心臓弁膜症が進行すると、運動時の息切れ、疲れやすさ、むくみ、胸の不快感などが現れることがあります。

心臓弁膜症の評価には、心臓超音波検査が役立ちます。

肺の病気でも息切れは起こりますか?

息切れは、心臓病だけでなく肺や気管支の病気でも起こります。

代表的な病気には、気管支喘息、COPD、肺炎、間質性肺炎などがあります。

気管支喘息

気管支喘息では、空気の通り道である気管支が狭くなり、息苦しさや咳が起こります。

ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がみられることがありますが、このような音がはっきりしない場合もあります。

COPD

COPDは、主に長期間の喫煙によって肺の働きが低下する病気です。

初期には坂道や階段での息切れとして現れ、徐々に平地でも息切れを感じるようになることがあります。

長期間の喫煙歴があり、慢性的な咳や痰、運動時の息切れがある場合は、呼吸機能の評価が必要です。

肺炎などの感染症

発熱、咳、痰、だるさなどとともに息切れが現れた場合は、肺炎などの感染症も考えられます。

高齢者では高熱が出ず、食欲低下や息切れだけが目立つこともあります。

貧血や甲状腺の病気でも息切れは起こりますか?

貧血になると、血液が全身へ運べる酸素の量が減少します。

そのため、階段や歩行などで息切れ、動悸、疲れやすさが起こることがあります。

甲状腺機能亢進症では、全身の代謝が高まり、脈が速くなることで動悸や息切れが現れる場合があります。

血液検査によって、貧血、甲状腺機能、腎機能などを確認します。

運動不足による息切れと病気による息切れは区別できますか?

症状だけで完全に区別することは困難です。

運動不足や体重増加でも階段や坂道で息切れは起こりますが、次のような変化がある場合は、病気による息切れも考える必要があります。

  • 以前と同じ運動で息が切れるようになった
  • 息切れが数週間から数か月で悪化している
  • 平らな道でも息が切れる
  • 息切れのために歩く速度が遅くなった
  • 同年代の人についていけなくなった
  • 横になると息苦しい
  • 足のむくみや体重増加がある
  • 動悸、胸の違和感、めまいを伴う

「年齢のせい」「運動不足のせい」と決めつけず、以前からの変化を見ることが大切です。

息切れがあるときは、いつ受診すればよいですか?

以前は問題なくできていた動作で息が切れるようになった場合や、息切れが徐々に悪化している場合は、早めに医療機関へ相談してください。

特に、次の症状がある場合は原因の確認が必要です。

  • 少し歩くだけで息が切れる
  • 息切れを繰り返す
  • 息切れの程度が以前より強くなっている
  • 横になると息苦しい
  • 夜中に息苦しくて目が覚める
  • 足のむくみや急な体重増加がある
  • 動悸や脈の乱れを伴う
  • 胸の圧迫感や締めつけ感を伴う
  • めまいや意識が遠のく感じを伴う
  • 発熱、咳、痰が続いている

意識を失っている、強い胸痛が続いている、安静にしていても著しい呼吸困難が続くなど、症状が強い場合は救急相談または救急要請を検討してください。

息切れがあるときに記録しておくことはありますか?

次の点を記録しておくと、原因を調べる手掛かりになります。

  • 息切れが始まった時期
  • どのような動作で息が切れるか
  • どのくらい休むと治まるか
  • 突然始まったか、徐々に悪化したか
  • 横になると苦しくなるか
  • 夜中に息苦しくて目が覚めるか
  • 胸痛、動悸、めまいの有無
  • 咳、痰、発熱の有無
  • 足のむくみの有無
  • 最近の体重変化
  • 家庭で測定した血圧と脈拍
  • パルスオキシメーターで測定した酸素飽和度

家庭用パルスオキシメーターの値は参考になりますが、測定値が正常でも心不全、不整脈、狭心症などを否定できるわけではありません。

息切れの原因を調べるために、どのような検査を行いますか?

12誘導心電図

心房細動、頻脈、徐脈、期外収縮、心筋梗塞を示唆する変化などを確認します。

ホルター心電図

日常生活中の心電図を記録し、通常の心電図では捉えにくい発作性不整脈と息切れとの関係を調べます。

心臓超音波検査

心臓の動き、心臓の大きさ、心機能、弁膜症の有無などを確認します。

X線(レントゲン)検査

心臓の大きさ、肺に水がたまっていないか、肺炎などの異常がないかを確認します。

CT検査

X線(レントゲン)検査だけでは評価が難しい肺の異常や、胸部の病気を詳しく確認する必要がある場合に行います。

すべての息切れにCT検査が必要なわけではありません。

血液検査

貧血、炎症、甲状腺機能、腎機能、電解質などを調べます。

心不全が疑われる場合には、BNPやNT-proBNPなど、心臓への負担を反映する項目を確認することがあります。

酸素飽和度の測定

血液中にどの程度酸素が取り込まれているかを確認します。

必要に応じて、安静時だけでなく歩行後の変化も評価します。

すべての患者さんに、すべての検査を行うわけではありません。

症状の特徴と診察結果から、必要な検査を組み合わせます。

息切れの治療はどのように行いますか?

息切れの治療方法は、原因となる病気によって異なります。

心不全では、心臓への負担や体内の余分な水分を減らす治療などを行います。

不整脈では、脈の速さやリズムを整える薬、カテーテル治療、ペースメーカー治療などを検討します。

喘息やCOPDでは、気管支を広げる吸入薬などを使用します。

貧血や甲状腺機能の異常が原因の場合は、それぞれの病気に対する治療を行います。

息切れがあるという理由だけで治療を決めるのではなく、原因を確認して治療方法を選択します。

よくある質問

階段を上ったときだけ息が切れます。検査した方がよいですか?

階段では平地よりも心臓や肺への負担が増えるため、健康な人でも息が上がることがあります。

ただし、以前は平気だった階段で息が切れるようになった場合や、途中で休まなければ上れなくなった場合は、心臓や肺の機能が低下していないか確認をご検討ください。

胸の痛みがなくても心臓病の可能性はありますか?

胸痛がなくても、心不全、不整脈、心臓弁膜症などによって息切れが起こることがあります。

狭心症でも、胸の痛みがはっきりせず、息切れや胸の違和感だけを感じる場合があります。

酸素飽和度が正常なら心配ありませんか?

酸素飽和度が正常でも、心不全、不整脈、貧血、狭心症などが隠れている可能性があります。

家庭用パルスオキシメーターの数値だけでは、息切れの原因を判断できません。

足のむくみと息切れがある場合は心不全ですか?

心不全で息切れと足のむくみが同時に現れることがあります。

ただし、腎臓病、静脈の血流障害、薬の影響などでもむくみは起こります。

症状だけで判断せず、診察と検査による確認が必要です。

息切れは何科を受診すればよいですか?

動悸、脈の乱れ、むくみ、胸の違和感を伴う場合や、心臓病を指摘されたことがある場合は、循環器内科へご相談ください。

咳、痰、喘鳴などが目立つ場合は、呼吸器疾患の評価も必要です。

どちらが原因か分からない場合は、まず内科で全身状態を確認する方法があります。

春日部市で息切れが気になる方へ

息切れの原因は、運動不足や体力低下だけではありません。

心不全、不整脈、狭心症、心臓弁膜症、呼吸器疾患、貧血などが隠れていることがあります。

特に、以前は問題なくできていた歩行や階段で息が切れるようになった場合は、原因を一度確認することが大切です。

はた内科・不整脈クリニックでは、12誘導心電図、ホルター心電図、心臓超音波検査、X線(レントゲン)検査、CT検査、血液検査などを用いて、息切れの原因を調べます。

春日部市藤塚周辺で、階段や歩行時の息切れ、動悸、むくみ、胸の違和感などが気になる方はご相談ください。

※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断に代わるものではありません。

執筆、監修

はた内科・不整脈クリニック
院長 畠 信哉

日本内科学会認定 総合内科専門医
日本循環器学会認定 循環器専門医
日本不整脈心電学会認定 不整脈専門医

参考資料

  • 日本循環器学会、日本心不全学会「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン」
  • 日本循環器学会、日本不整脈心電学会「2024年JCS/JHRSガイドラインフォーカスアップデート版 不整脈治療」
  • 日本呼吸器学会「COPD診断と治療のためのガイドライン」
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