「立ち上がると目の前が暗くなる」「ふわふわする」「突然意識を失った」という症状には、耳の病気、血圧低下、貧血、不整脈など、さまざまな原因があります。
特に失神は、反射性失神や起立性低血圧のように比較的良好な経過をたどるものだけでなく、徐脈、頻脈、心臓病によって起こる場合があります。
原因を考えるうえでは、症状が起きた状況、意識を失った時間、前触れ、回復後の状態を確認することが大切です。
めまいと失神はどのように違いますか?
めまいとは、体や周囲が動いているように感じたり、ふらついたりする症状の総称です。
一方、失神とは、脳への血流が一時的に低下することで意識を失い、その後自然に回復する状態です。
症状は次のように分けられます。
- 回転性めまい:自分や周囲がぐるぐる回る
- 浮動性めまい:体がふわふわする、まっすぐ歩きにくい
- 眼前暗黒感:目の前が暗くなり、意識が遠のく
- 失神:短時間、意識を失って倒れる
ぐるぐる回るめまいは耳の病気で起こることが多い一方、眼前暗黒感や失神は、血圧や心拍数の異常が関係している場合があります。
めまいや失神の原因には何がありますか?
| 症状が起きた状況や特徴 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 長時間立った後、痛みや緊張の後に起こる | 反射性失神 |
| 急に立ち上がったときに目の前が暗くなる | 起立性低血圧 |
| 動悸の直後に意識が遠のく | 頻脈性不整脈 |
| 脈が遅く、突然意識を失う | 洞不全症候群、房室ブロック |
| 運動中に意識を失う | 不整脈、心筋症、心臓弁膜症 |
| 体や周囲がぐるぐる回る | 内耳の病気 |
| 空腹時に冷や汗や震えを伴う | 低血糖 |
| 疲れやすさ、息切れを伴う | 貧血 |
| ろれつが回らない、片側の手足が動かしにくい | 脳血管障害など |
この対応は目安です。
実際には複数の原因が重なっている場合があり、症状だけで診断を確定することはできません。
反射性失神とは何ですか?
反射性失神は、自律神経の反応によって血圧や心拍数が一時的に低下し、脳への血流が不足して起こります。
次のような状況がきっかけになります。
- 長時間立っていた
- 強い痛みや緊張があった
- 採血を受けた
- 暑い場所にいた
- 脱水状態だった
- 排尿や排便をした
- 激しく咳き込んだ
失神前に、吐き気、冷や汗、顔面蒼白、目の前が暗くなる感じが現れることがあります。
前触れを感じた場合は、転倒を避けるため、可能であれば座るか横になってください。
起立性低血圧とは何ですか?
起立性低血圧は、横になった状態や座った状態から立ち上がったときに血圧が低下する状態です。
立ち上がった直後に、ふらつき、眼前暗黒感、脱力感などが起こります。
脱水、発熱、貧血、加齢、自律神経の異常、降圧薬や利尿薬などが関係する場合があります。
診察では、横になった状態と立った後の血圧や脈拍を測定して確認します。
不整脈によるめまいや失神にはどのような特徴がありますか?
心臓の脈が極端に速くなったり遅くなったりすると、脳へ送られる血液が一時的に減り、めまいや失神が起こることがあります。
原因となる主な不整脈は次のとおりです。
- 洞不全症候群
- 高度房室ブロック
- 心室頻拍
- 発作性上室性頻拍
- 心房細動に伴う著しい頻脈や徐脈
不整脈による失神は、明確な前触れがないまま突然起こる場合があります。
動悸、胸痛、息切れを伴う場合や、心臓病を指摘されている方に起きた場合は、早めの循環器評価が必要です。
心臓病による失神を疑う特徴はありますか?
次の特徴がある場合は、心臓病や不整脈が原因となっていないか確認する必要があります。
- 運動中に意識を失った
- 横になっているときに失神した
- 動悸や胸痛の直後に失神した
- 前触れなく突然倒れた
- 心臓病を指摘されている
- 健診で心電図異常を指摘された
- 家族に若年での突然死がある
- 失神を繰り返している
一度だけの失神でも、状況によっては詳しい検査が必要です。
めまいや失神で救急要請を検討する目安は何ですか?
軽い立ちくらみのすべてに救急要請が必要なわけではありません。
ただし、次の症状がある場合は、救急相談または救急要請を検討してください。
- 意識が戻らない
- 呼びかけへの反応がおかしい
- 胸痛や強い息苦しさを伴う
- 運動中に失神した
- 失神後も脈が極端に速い、または遅い
- ろれつが回らない
- 顔や手足の片側が動かしにくい
- 激しい頭痛が突然起きた
- 転倒によって頭を強く打った
- 短時間に失神を繰り返している
意識が戻った場合でも、初めて失神した方や原因が分からない方は、医療機関へご相談ください。
失神したときに確認しておくことはありますか?
本人の記憶がないことも多いため、目撃した方からの情報が診断に役立ちます。
- 失神前に何をしていたか
- 立っていたか、座っていたか、横になっていたか
- 前触れがあったか
- 動悸、胸痛、息切れがあったか
- 意識を失っていた時間
- 顔色が青白かったか
- 体のけいれんがあったか
- 舌をかんでいたか
- 意識が戻った後、すぐ普段どおりになったか
- 家庭で測定した血圧と脈拍
- 服用している薬
けいれんのような動きは失神でも起こる場合があるため、動きがあったことだけでてんかんとは判断できません。
めまいや失神にはどのような検査を行いますか?
12誘導心電図
徐脈、房室ブロック、心房細動、心室性不整脈、QT延長などを確認します。
ホルター心電図
日常生活中の心電図を記録し、めまいや失神と不整脈との関係を調べます。
症状の頻度が低い場合には、より長期間の心電図記録が必要になることがあります。
心臓超音波検査
心機能、心筋症、心臓弁膜症など、失神の原因となる心臓の構造的異常を確認します。
血圧測定
横になった状態と立った後の血圧を測定し、起立性低血圧の有無を確認します。
血液検査
貧血、低血糖、電解質異常、甲状腺機能などを調べます。
神経症状がある場合や、心臓以外の病気が疑われる場合は、対応可能な医療機関へ紹介します。
よくある質問
立ちくらみだけでも循環器内科を受診した方がよいですか?
立ち上がったときだけ起こる軽い立ちくらみは、脱水や起立性低血圧によることがあります。
ただし、繰り返す場合、意識を失いそうになる場合、動悸や脈の異常を伴う場合はご相談ください。
失神後すぐに意識が戻れば問題ありませんか?
反射性失神では短時間で意識が戻ることが多い一方、不整脈による失神でも自然に回復する場合があります。
回復の速さだけで原因を判断することはできません。
めまいがあるときは何科を受診すればよいですか?
ぐるぐる回る感覚や耳鳴り、難聴がある場合は、耳の病気が考えられます。
眼前暗黒感、失神、動悸、脈の異常を伴う場合は、循環器内科へご相談ください。
春日部市でめまいや失神が気になる方へ
めまいや失神の原因には、反射性失神、起立性低血圧、貧血、不整脈、心臓病などがあります。
はた内科・不整脈クリニックでは、12誘導心電図、ホルター心電図、心臓超音波検査、血圧測定、血液検査などを用いて原因を調べます。
春日部市藤塚周辺で、立ちくらみ、眼前暗黒感、失神、動悸などが気になる方はご相談ください。
※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断に代わるものではありません。
執筆、監修
はた内科・不整脈クリニック
院長 畠 信哉
日本内科学会認定 総合内科専門医
日本循環器学会認定 循環器専門医
日本不整脈心電学会認定 不整脈専門医
参考資料
- 日本循環器学会、日本不整脈心電学会「2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン」
- 日本循環器学会、日本不整脈心電学会「2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン」
